歯の白い斑点(ホワイトスポット)の治療
ホワイトスポットとは?
ホワイトスポットとは、歯の表面にできる白い斑点のことです。ホワイトスポットができる原因として、「初期の虫歯」と「エナメル質形成不全」の2つが考えられます。
一つ目の「初期の虫歯」は、虫歯菌がお口の中にある糖分を餌として酸を出すことで、歯の表面を覆うエナメル質を溶かす「脱灰」を引き起こします。この脱灰によって初期虫歯ができ、歯の表面が白く濁ったような見た目になります。
二つ目の「エナメル質形成不全」は、エナメル質内部に傷が付くことで少し濁ったような白さになり、歯の表面に白い斑点が現れます。これは歯が作られる過程でできるものであり、虫歯とは異なる状態です。
このようなお悩みはありませんか?
- 歯の表面に白い斑点がある
- 歯の色むらが気になる
- 前歯に生まれつき白い部分がある
- 矯正治療後に装置を外したら白くなった
- ホワイトニング後に
白いまだ模様が出てきた
歯の白い斑点(ホワイトスポット)の治療
iconとは
iconとは、ホワイトスポットや初期虫歯を治療する薬剤です。歯の表面にあるエナメル質を再石灰化する効果があるため、症例によっては歯を削らずに治療が可能です。
ホワイトスポット治療の場合、酸によって脱灰したエナメル質に薬剤をしみこませることによって、白濁した部位を透明化させます。アイコンの役割としては「歯を透明化すること」なので、歯の内部の色が黄色い場合は、ホワイトニングで白くすることで自然な色を再現することができるのです。
「自然な白い歯」にするためには、正しいiconの使い方が重要
ホワイトスポット改善において、icon薬剤は歯の表面ではなく、エナメル質内の白濁部位に浸透させることが重要です。
よくあるホワイトスポット治療の失敗ケースとして、エナメル質上に塗布することで余分な薬剤が残存し、研磨不足が原因となって、治療後すぐに黄色に変色してしまうことがあります。
白い斑点を取り除きたかったのに歯が黄色くなってしまった…そんな治療結果になってしまうことを防ぐためにも、iconの正しい使い方をすることが重要なのです。
当院では、iconを発売しているYOSIDA社がホワイトスポット除去法を日本で公開する以前より連携を行ってまいりました。iconの正しい使い方を理解して治療にあたっています。
ホワイトニングを併用することで、黄ばみを防ぐ
iconの役割は、歯を白くするのではなく「白濁した歯を透明化する」ことです。日本人の象牙質(歯の内部)の色は黄色のため、透明化した内部が黄色ければ、結果的に象牙質の黄色を強く表現してしまうことになります。そのため歯が術前よりも黄色く感じる事になります。
それを防ぐために、当院ではicon術前にオフィスホワイトニングを行い、象牙質表面までしっかり白くすることで歯の黄ばみを抑えます。
iconを行った後で黄色く感じるからホワイトニングを後から行っても、エナメル質にiconの薬剤が浸透してしまっているため、ホワイトニングの効果が少なくなります。
当院ではホワイトスポット改善の場合、事前のホワイトニングを強くおすすめしております。
icon治療に力を入れている歯科医師が担当
城戸 政彦Masahiko Kido
iconによるホワイトスポット除去が広まったのは2020年頃ですが、当院では、iconを発売しているYOSIDA社がホワイトスポット除去法を日本で公開する以前より連携を行い、ホワイトスポットの治療に力を入れて参りました。
現在もホワイトスポット改善にはセラミックのラミネートベニアやダイレクトボンディングが一般的と言われており、iconでは歯が黄ばんでしまうと思われる方もいらっしゃいますが、iconの本来の使い方を行えば、自然な白い歯を再現することができるのです。
白い斑点を取った後の「自然な白さ」にこだわり、ホワイトニングの併用も視野に入れて、一人ひとりにあわせた治療をご提案いたします。
icon治療の流れ
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Step01
診断・治療計画の立案
実際のホワイトスポット部分を確認して、治療計画を立案します。より自然な白さを再現するため、ホワイトニングの併用も視野に入れて治療計画を立案します。
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Step02
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングを行うことで、歯の内部の黄ばみを取り除きます。このホワイトニングを行うことで、icon治療後の歯の色味に大きな差が出てきます。
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Step03
前処理
唇を保護するオプトラゲートを装着し、前処理としてアイコン・エッチを塗布します。その後水で洗い流して乾燥させます。
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Step04
icon薬剤の浸透
新鮮なicon薬剤を使用して、歯の内部まで浸透していきます。症例によりますが、当院では10分浸潤法をベースにしっかりと時間をかけてicon治療を行います。(重度の場合はさらに追加します)
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Step05
icon薬剤を硬化
光重合器の特殊な光で硬化させます。
ホワイトスポット治療(icon治療)の料金と注意点
ホワイトスポット治療の料金
※検査料金は別途かかります。
ホワイトスポット治療の注意点
- 健康保険が適用にならないため、自費診療となります。
- iconは液状のプラスチック樹脂をエナメル質に浸透させる治療のため、icon治療後はホワイトニングができません。
- ホワイトスポットの原因や状態によって、治療方法や治療回数が異なる場合がございます。
- 症例によっては、ホワイトスポットの改善が見られない場合や、治療後1か月くらいの時間をかけてゆっくりと改善していくケースも稀にあります。また経年的に後戻りすることもあります。
ホワイトスポット治療(icon治療)のよくあるご質問
- 他院でiconでホワイトスポットを治療したら、歯が黄色くなった気がするのですが…
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主な要因として「歯の表面に薬剤が残っていること」と「歯本来の色の認識の違い」の2つが考えられます。
一つ目の「歯の表面に薬剤が残っていること」 は、治療時に薬剤を厚塗りすることで歯の表面に薬剤が残り、術後すぐに黄色に変色してしまうケースです。
本来はエナメル質内の白濁部位に薬剤を浸透させるのですが、エナメル質の上に塗るような使い方をしたり、術後の研磨が不足していると、このような薬剤残りが発生するので注意が必要です。二つ目の「歯本来の色の認識の違い」は、歯の内部の黄ばみを考えずに治療を進めることで、思っていたよりも黄色い仕上がりになってしまったというケースです。
iconの作用は白濁した部位を透明化するのであって、歯を直接的に白くする作用はありません。iconによってエナメル質が透明化されるとその下の象牙質の色がそのまま浮き出てきます。つまり、歯の内部が黄ばんでいると、治療した部分だけが黄ばんで見えるということです。(日本人の象牙質の色は黄色のため、このようなケースは少なくありません。) これはicon術前にオフィスホワイトニングをすることで、黄ばみの原因である「歯の内部(象牙質表面)」を白くすることができます。
※icon治療後はエナメル質に薬剤が浸透しておりホワイトニングの効果が少なくなるので、当院ではicon治療前のホワイトニングを強くおすすめしております。 - ホワイトスポット除去をすると歯が薄くなってしまうのでしょうか?
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はい、そのとおりです。正しくは、白濁部位のエナメル質は、断面で見ると凹んだようになります。
白濁の原因が初期虫歯の場合、歯の表面に白濁部位があるのでほとんど気になることはありません。しかし、エナメル質形成不全の場合は、エナメル質内部(ほぼ象牙質)との境に白濁部位が存在するため、ホワイトスポット治療の際にある程度のエナメル質の除去が必要になります。よってホワイトスポットが改善されても、舌で舐めると気持ち凹んだように感じます。
これは、症例写真を見ても正面からの撮影のため気づきません。一見綺麗に見えてもiconのみの治療だと、治療した部位はへこんだままです。凹んだ部位にはダイレクトボンディングを行うことで、エナメル質の形態改善と歯質の保護を行います。しかし、部分的なダイレクトボンディングは難易度の高い処置です。なぜなら、その部位にあったエナメル質の色を選択しなければならず、iconはエナメル質が透明になる性質をもつため、透明感のあるダイレクトボンディング充填材にて、厳密に色あわせを行う必要があります。
- 医院によってホワイトスポットの料金に大きな差があるのはなぜでしょうか?
- 自費治療全般に言えることですが、治療にかける時間と行程、使用する素材などは医院によってさまざまです。
当院では、霞みがかかった程度の白濁や、初期カリエスなどの軽度の場合は25,000円+税で行っていますが、強い白濁、重度のエナメル質形成不全の場合、治療の工程が増えるため、60,000円+税がかかってきます。この治療の工程は、使用する薬剤の量と治療時間、ホワイトニングの併用によって金額が変動します。
元々iconは歯と歯の隙間の初期カリエスに対する予防コーティング剤なのですが、ホワイトスポット治療に使用すると薬剤の量を大量に使う必要があり、また自然な白さを再現するためには新鮮な薬剤を使用することが求められます。 (なんと実は、自費のダイレクトボンディング剤よりもicon薬剤のほうがコストは何倍も高額!)
つまりは本来お手軽簡単にできるものではなく、しっかりと効果を得るためには、自費の前歯のダイレクトボンディング並みに難易度の高い処置だと言えます。
安い治療を行うことで、治療後に歯が黄ばんでしまうケースも少なくありません。しっかりと効果を得られるよう、治療工程と薬剤に拘って治療を行っております。 - icon治療を標榜してる他院にて、ホワイトスポットの部位が深く広範囲のため、iconでは効果が不安定ということでラミネートベニアを勧められ、また、その歯のみラミネートベニアにすると質感から隣の歯と違いがわかるので元々治療希望でない、その他の歯、前歯4本をラミネートベニアにする事を勧められました。
- 難しいケースとだとは思いますが、当院では基本的にご希望の歯のみの治療を行っています。
今回の場合は、ホワイト二ングとiconを併用した上でダイレクトボンディングを行います。重度の場合は、説明でも述べたとおり白濁部位にアプローチするため、ある程度の切削が必要です。
当院が行う治療では、歯に対してのダメージを極力減らすため一般的なドリルによる歯の切削を行わず、エアーアブレーションという方法で歯に対しての侵襲を最小限にした切削方法を行った上で必要な部分のみicon処置を行います。ラミネートベニアのように全体的に歯を削りません。
また、当院では色調・質感の仕上がりにこだわるため、エナメル色だけでも日本で入手できるメーカーのダイレクトボンディング材のほとんどを揃えています。なぜなら、同じ色の種類でもメーカーごとに若干の色の差があるからです。その中から患者さん個人にあった色調の選択を行っています。